娘夫婦は50平米ほどのガレージハウスに住んでいる。リノベーションフリーで時々居住空間が変わる。以前は私がお邪魔すると言うことで、畳一畳半のゲストルームが用意されていた。半畳のスペースにマットとヒーターが置いてあり、ベッドの下が荷物置き場になっている。隣は娘の荷物を預かるためにリメイクした部屋だが、結婚して自分たちのベッドルームになった。
今回は居間をリノベーションしたそうで、シンクをキッチン寄りにし、お風呂はトイレ側になっていた。キッチンスペースに食洗機が追加されて、ユーティリティには乾燥機も設置、我が家より数段快適な空間に変っていた。居間に全てが設置されていて、くるりと回れば事足りる。
お風呂はウイスキーの樽だそうで、カーテンを開けると湯船に浸かりながらテレビを見ることができる。コンロはキャンプ用のコンロに市販のガスを入れ替えて使っているとのこと。「えっ、そんなことできるの？私もやってみようかな？」と言うと「危ないからやめた方がいい、爆発する。外でしてるけど…」ーーー山で使えると思ったのに、残念！
タイの大学の寮は汚かった。スチールのベッドに緑のビニール製マットとスチールのロッカーがあるだけで窓もなく刑務所のようだった。人生の終盤になんでこんな汚いワンルームに住まなきゃならんの？と悲しくなった。掃除用具もなく、タオルに歯磨き粉をつけてベッドを拭き、寝袋で寝た。翌日から、寮の裏に壊れて積み重なっている机を拾って修繕し、キッチンと食卓と、作業机を作った。ひと月ほどで部屋は見違えるようになった。ーーーあの頃が蘇り、なんだか懐かしい。
「いいねぇ、毎日キャンプしてるみたいじゃん！」と言うと、「いつもどこかに不具合があるのよ」と言いながらも生活を楽しんでいる様子。そうね、完璧なものって面白くないもの。何かを足したり引いたりしながら完成させるのがいいんじゃないかしら。創意工夫って頭も使うし、なによりも楽しいわね。ーーーん？絵に通じるものがある。
