羽生輝展 北海道近代美術館

 北海道、釧路在住の日本画家、羽生輝展が近美で開催されている。

彼の存在を知ったのは柴橋伴夫氏が北海道の画家を紹介した本である。モノクロームの崖の絵に惹かれた。本物を見たいと望んでいたので開催を心待ちにしていた。

 想像以上に素晴らしいと思った。目線上にある崖の台地は数本の線が引かれているだけなのに広がりが感じられるのだ。水平線や地平線を望む風景は北海道ならではのモチーフである。空と崖が霧に包まれ、時折陽が差し込む瞬間と凍てつく自然を見事に表現している。

 

 同郷の原田康子氏の挿絵画家としても有名である。中学生の頃に挽歌を読み、兵藤怜子に憧れた。年の離れた恋人、桂木にも憧れましたね。海霧の挿絵も描いている。初版本が欲しくなりました。

 叔母が彫刻家、船越保武氏と結婚し、芸術的な環境はあったようで、母親が子供の頃の絵を残している。東京から釧路に越してからは絵画教室に通い、その後、教育大学の釧路分校で油彩を学び、日本画を描くようになった。本人曰く、「北海道でも日本画は描ける」と言い切っている。なるほど、真に北海道らしいと思う。

 

 ーーー木の芽も膨らんで、街中は春でした。

 

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