友達文庫

 本好きの友人から届いた新刊本三冊。

いちばん先に読んだのはジュンパ・ラヒリ。「停電の夜に」以来のフアンである。異文化がテーマで、家族、結婚、宿命の歯車が微妙に絡み合ってそれそれの人生を作り上げてゆく。より深いところで生まれ育った国の文化が精神を形成する。圧倒的な読書感が凄い。

 

 2番目はイタリア人から見た文豪の側面というか、独自の見解が面白い。毎晩、明治、大正時代の朗読を聴いている。谷崎潤一郎田山花袋漱石、芥川、太宰、などなど、大作家を切り捌いている感じが、可笑しかったり、あっそうと納得したりする。

 

 ロシア文学は手強かった。描かれているのはスターリンが死んだ1953年からソ連崩壊後の96年のモスクワだ。文学を愛する孤児のミーハ、カメラの技術を習得したイリヤ、裕福な家庭に育つも音楽家の道を絶たれたサーニャの、三人の少年が成長する物語である。


 文学を愛するミーハはソルジェニーツィン収容所群島』を複写するが摘発される。権力による暴力と抑圧が、人々のささやかな幸福を踏みにじり、愛を引き裂き、不遇のまま死に追いやる。過酷な時代に生きた市井の人々を描き出す。言論の自由が如何に大切なことであるか。現在、ロシア国内で戦争反対の意思を示す勇気あるロシア人が彼らと重なる。

 

 その間にも、購買リクエストしていた本や、一年前の予約本のお知らせが届いて、絵を描く時間が削られる。本を読みたいがために「昼は絵を描く!」と、プレッシャーをかけ、おまけに週末は山登り。春探しと称して、散策山菜採りに忙しくしていた。まあ、動けばアイデアも湧く。山はエネルギーを与えてくれる〜♬