「その日の予定」 エリック・ヴュイヤール

『いちばん大きなカタストロフ(破局/地殻の激変/大災難)は、しばしば小さな足音で近づいてくる』

 と、見開きにあり、正にと思った。いつの時代も人々がゆるりと暮らしているとき、悪魔は背後から忍び寄る。香港やミャンマーの反政府デモに、当局は権力を行使して収めようと躍起となり、ミャンマーでは500 万もの死者が出ている。牛が草を反芻するように歴史も繰り返すのだろうか.....。

 

 ホロコーストに関する本を読んでいた時期がある。悲惨極まりない戦争の事実を記したものだが、この本は戦争に触れることなしに、大戦の発端となったオーストラリア併合と結末を描いている。過ぎた歴史を題材にし、「資本主義」という怪物に翻弄されていく現代人に警告を与えている。

 

 こんな風にして歴史は変えられ、作られるのだという臨場感にハラハラしてしまった。

 

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