初秋に…

 先日読んだ池澤夏樹のエッセイで「5歳まで住んだ帯広が自分にとっての原風景である」と述べていた。人生の大半を過ぎて見れば確かにそうで、故郷の風景や家族、関わりあった周りの人々によって人は形成されるのだと思う。

 

 海で遊び、海に陽が落ちるのを眺め世界の広がりを想像した日々は、歳を経た今にも繋がっている。世界の空は、海はどんな色をしているのだろう…と今も好奇心に駆られる。きっと最後の日まで、ここではない何処かに行ってみたいと思うんだろう。

 

     裏庭の小菊香るは懐かしき手折る人なき廃屋の夕暮れ

 

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