「私がつかんだコモンと民主主義」岸本聡子

 地域の図書館にリクエストの本が届いたとの連絡が入った。何よりも本を優先する私は朝一番で受け取りに行く。そして、その日のうちに読んでしまう。

 

 著者はオランダ人と恋に落ち、日本で子供を産み、消去法でオランダ移住を選択する。最初は夫に扶養されているが、外国人の夫は当然のように仕事に就くことを要求する。

さて、なんの資格もない上に言語の壁が立ちはだかる。オランダ語どころか英語さえ通じない。それでどうやって仕事をすればいいのか…。

 学生時代に社会学を学んだことからアムステルダムに本拠を置く、NPOトランスナショナル研究所」で働くことになる。アメリ同時多発テロからコロナ危機まで、下から政治的に関わってきた奮闘記である。現在は東京杉並区の区長を務める。

 

 気候変動、多様性を始めヨーロッパの政治運動の報告書としても読める。特に、夫婦別姓が認められないのは日本だけになったという事実。愚かしい国に住んでいると思うと、腹が立つ。世界と並行して日本の現状が見えるのがいい。