読み終わるまで時間がかかった。まさに、歩くペースでしか読めない。というのは、著者の読書量と見識に付いて行けずに、その度に立ち止まってしまうのだ。
1961年、ノルウェーのベルゲン生まれ。2011年「自然に逆らって」でノルウェーで最も権威ある文学賞、ブラーゲ賞を受賞した。初めて手にした作家であり、サブタイトルが興味深い。
本書は自伝であり、エッセイでもある。そして、紀行文としても読める。北欧は訪れたことがないので、想像しながら読み進めるのが楽しい。哲学者、ハイデカーの山小屋を訪れ、詩人、ランボーやルソー、旅好き、自然の中に生きた思想家が登場する。芸術にも明るく、マルグリット・デュラス、ジャコメッティなどのエピソードが身の丈で織り込まれ、思想家や芸術と対話しながら、一人で、または二人でベルゲンから西ノルウェーのフィヨルド沿岸を進み、ドイツからアテネ、トルコまで歩く。過去の歩き旅の話も織り込まれているので、どういうコース?と地図を開く。寄り道してしまい、ますます捗らない。
山歩きは好きだけれど車道を歩く気にはならない。車の排気ガスや騒音があると、落ち着かない。自然の中を歩くのがいい。五感が刺激されてリフレッシュされる。 これからは、毎週、春を探して自然の中を歩く。ーーー最高の幸せだ〜♬