映画「アルピニスト」

 久々に「アルピニスト」を観るためシアター・キノに足を運ぶ。

カナダ生まれのアルピニスト、マーク・アンドレルクレールドキュメンタリー映画である。小学生の頃、適応障害のためにホームスクールで学び、自然の中で育った。祖父から贈られた「Quest  for Adventure」を読んで登山に興味を持ち、地元の登山クラブに所属。クライミング競技に参加するようになる。その後、パタゴニアやカナダの難しい氷壁を下見もぜずに単独で次々に踏破する。SNSをせず、携帯さえ持っていないマークは自然児そのもの、生きることがクライミングと結びついている。

 

 映画クルーがマークの映像を残そうと追うが、真のクライミングができないと行方をくらます。手を尽くして見つけ出すと、山の裾野でガールフレンドとテント暮らしをしているといったふう。いつも二人で楽しそうに登っている。

 

 ヨセミテのエルキャピタンはもちろん、アイスクライミングであれ、氷壁も含め、命綱なしで、なんの迷いもなく神業のごとく天空に向かっていく。息が止まるような緊張感が伝わり、もし氷が割れたら?と思うと気が気ではない。

 

 2018年3月5日、アラスカのメンデンホール氷河の北壁で新ルートを制覇。ライアン・ジョンソンと共に氷河に消える。

 

 偶然出会った元山岳会のメンバーと顔を見合わせ「二人だったからかな…」と切なくなる。もう一人の元メンバーは「山道具は全部売り払った」というので驚き、理由を尋ねると「死ぬから」ときっぱり。確かに。海外登攀を続けてると死ぬ。人それぞれの決断に深く感銘した午後でした。

 

 

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