佐藤武氏 アトリエ訪問

 崩壊する遺跡を描いている佐藤氏のアトリエを訪問する。

大谷大学在学中、ギャラリーさいとうで開催していた「佐藤武個展ー時空の果て」に立ち寄り、無窮の果てのような遺跡はどこに存在するのだろうと思った。インドのような、エレサレムのような…。聖書の創世記「塵から生まれ塵に帰る」の言葉が脳裏に浮かんだ。栄華を極めたであろう遺跡も、いつかは朽ちて塵となる。

 その時、ちょうど佐藤氏が在廊していたので伺うと、空想の遺跡とのことだった。遺跡を上から見下ろした悠久の空間に胸の空く思いだった。強烈な印象を受けた。

 

 旧友から佐藤武氏のアトリエ訪問に誘われ、大喜びで出かけた。昨年の冬、芸術の森美術館で「佐藤武絵画展」が開かれたのだけど、見逃したたので作品を拝見したかった。カメラマンの友人から素晴らしかったと聞いていたのだ。

 

 背後に自然林を抱えた民藝風のアトリエは素晴らしく、1階から3階までこれまでの作品が架けられ、たくさんの絵があるのにも関わらず、寂とした空間だった。佐藤氏の穏やかな人柄と話し方は相手を居心地良くされてくれる。美術業界や個展の裏話などしてくださって、素敵な時間を過ごすことができた。図録や著書、写真集も頂き、夢うつつ。旧友に感謝。