カナダで開催されたパイプオルガン・コンクールのドキュメンタリー作品。
12カ国から集まった20人の若者たちがコンクールに挑む。小さい頃から教会のパイプオルガンを弾いていた天才的な若者たちである。プロへの登竜門と言われるこのコンクールに出場することだけでも名誉なことで相当なプレッシャーのなか、いかに勝ち抜くか、オルガンとの出会いや家族のエピソードなどを交えた記録作品である。
参加者の一人、テキサスの田舎から来た黒人の若者。
父親は牧師で彼は教会でゴスペルの伴奏をしていた。小学生のときテレビでパイプオルガンの演奏を聴いて驚き「あんな、痩せて小さなおばあさんが弾いているんだから、僕ならもっと力強く弾ける!」と思い、ネットで教えてくれる人を探したが誰もお金のない少年に教えてくれなかった。そもそも田舎町にパイプオルガンはなかっただろう。
高校へ入学する前に母が亡くなり、その母が亡くなる一月前にパイプオルガンのワークショップに申し込んでくれていたのだ。それがオルガン奏者になるきっかけとなった。勝ち抜いたのは黒人の若者、アルシー・クリスだった。
『音楽に深みを与えるのは演奏者自身の体験です。この上ない喜びや深い悲しみをどう表現するか、それは勉強によって身につくものではないのです。聴く人の人生を変えるような音楽を届けたいと思っています』ーアルシー・クリス
ーーー「音楽」を「絵」に置き換えてみると考え深い。この上ない喜びや深い悲しみをどう表現するか、それは勉強によって身につくものではないのです。見る人の人生を変えるような絵を描きたいと思っています。