春、三月

 陽射しが和らぐ三月。雪解けが進み、木の芽も膨らんで、春はそこまで来ている。春が近くなると、買い置き林檎が美味しくなくなる。雪国の林檎がボケて春近し、ってところ。

 

 歯触りの悪くなった林檎をコンポートにし、アップルタルトを焼いた。部屋に焼きりんごの甘い匂いが立ち込め、幸せーな気分〜♬

 

 

 

 

  粉だらけのキッチンで、ついでにアンパンも焼く。焼きたてのアンパンを頬張ることも、幸せのひとつ。

 私は温かくて美味しいものを食べると簡単に幸せになれる。戦後に生まれ、物のない時代に手作りのおやつで育ったからだ。

  ーーー焼きたての餡の熱さを懐かしむ