水野剛志 展:道銀らいらっくギャラリー

  らいらっくギャラリーで、大谷大学でお世話になった、日本画の水野先生の個展が開かれている。以前、円山のギャラリー・レタラで開催された時、高山植物があまりにも素敵なので、写真集を予約購入した。もう一度、見たいと思っていたし、本人にもお会いすることができたので嬉しい。

 

 そもそも、札幌美術学園でデッサンを学んでいた時に、大谷大学編入できることを教えてくれたのは水野先生なのだ。東京の美術大学の通信を受けようかと思案中、札幌大谷大学は3年次に編入できるとのことだ。普通、4年制大学卒の場合、美術大学への編入学は2年次からなので、3年分の学費が必要である。で、まあ、2年の学費で済む大谷大学に入学を決めたというわけである。

 

 日本画履修中、いい加減な私には合わないということがわかった。「あらら、残念な事になった…」と高い顔料をサンドペーパーで削り、担当の教授に睨まれた。しかし、鑑賞するのは好きで、日本画展には足を運ぶ。山好きの方にお勧めします〜♬

 

 〜25日まで。

 

雪見酒〜♬

 昨日は作文の授業で室蘭へ。夜、札幌に着いたら、結構積もっている。くるぶしまである。雪は、暗闇から真っ直ぐに降り積もり、通りの騒音を吸い込みひっそりとしている。シンガポールの留学生が「札幌は雪が重なります」と言ったのを思い出した。「それは『積もります』っていうの」と笑ったけど、確かに重なってる。

 

 翌朝、駐車場の車に40センチ以上積もっている。あらら、雪当番じゃなくてよかった…。今日は、試験の採点と作文の添削をしなければならない。そして、翌週の準備と月曜日のフランス人シエフクラスの準備を合わせると、雪かきしている暇はない。終わったのは2時過ぎだった。

 相変わらず、雪は降り続いていて、「ではでは、雪見酒といきましょう〜♬」とキッチンの窓から雪を眺めながら、一人酒盛り。あっというまに一日が過ぎてしまいました。ーーー春はまだ遠い。

 

       ふわふわと幸せの降る春を待つ

 

 

 

 

 

 

暇じゃないと、絵なんて描けない…。

 昨年10月から、週一で日本語を教えている。語学を学ぶことは、楽しく、刺激的であって欲しい、と思うので、頭がいつもクラスワーク・バージョンになり、どこかで生教材を探しているのである。「あれ、使えるかも?」と頭の中はアイデア探しに余念がない。

 

 昨年の今頃は、ヒグマのデッサンに取り組んでいて、クマに襲われる夢をみて、夜中に飛び起きていた。沢で起こったヒヤリハットのクマとのすれ違い、獣臭い匂いに焦り、笛を吹き鳴らした経験などが甦る。絵を描くって、寝てはいても、その絵の中にいるのである。絵の中に自分の分身が存在するのだと思う。

 

 今は、頭が日本語教師バージョンになり、絵に集中できない。絵を描くって、没頭しないと描けないのである。ああでもない、こうでもないと、縦にしたり横にしたり、絵の具を消費するばかりで絵は完成しない。格闘している時点で、「ああ、これこれ!これが描きたかったのよ…」と、気付くのだ。

 

 あと、3週間は週2回の授業なので、絵を描く気分には程遠い。絵描きさんはどう時間を割いているんだろう…。

 

 

 

Bonjour 〜♬

 フランスから、日本料理を学びにやって来た若者たちに、日本語を教えることになった。彼らはフランスで、3年間のフランス料理コースを学んでいる。その料理学校の一環として、5ヶ月間、日本に留学し、日本料理と日本語を学ぶことになった。

 

 月曜日は初日である。日本語は全員が初級で、ほぼ初めてとのことだった。英語を話せない生徒が数名いるとの申し送りだったが、蓋を開けてみると、ほぼ全員、英語が話せて理解できる。そして、なんと平仮名とカタカナが読める。

①  課題は自己紹介と友人を紹介する。

②  自分の好きなことが言える。相手に聞ける。

③  あいさつ。場面設定や状況による useful expressions 

 

 ローマ字書きをしていたら、平仮名がいいというので、五十音の練習帳を読んでもらうと、全員読める。単文も読めて意味がわかる。学生のノートをチェックすると、フランス語と平仮名でメモをとっている。ベトナムの生徒より字がきれいだ。

 

 「シエフの卵たちに日本語を教えるなんて、なんてラッキーな〜♬ 」と心浮き浮き、自然に頬がゆるむ。授業の合間に「イタリア料理とフランス料理の違いってなに?」と質問したりして、「違いはソース」との返答に、なるほどと納得。「イタリアは素材を活かしたシンプルな料理が多いけど…」とも。それにも納得。イタリアは新鮮な食材が手に入るので、北海道と似ているかも?と思う。

 

 私に興味を持ってもらうために、7大陸最高峰登頂のテレビニュース映像を見てもらい考古学の作図や大谷大学に入学し、絵を学んだ経緯のプレゼンをして、初日は大成功。

ーーーさてさて、来週はなにを質問しようかと思案中である。

 

 

 

「母を失うこと」サイディア・ハートマン

 歴史的に有名な大西洋の三角貿易航路。17〜18世紀にかけて、アメリカ大陸・西インド諸島プランテーションの労働力不足のため、西アフリカで行われた人狩り奴隷貿易。劣悪な船底に人間を詰め込み、人間の荷を降ろすと、砂糖や綿花、タバコなどをヨーロッパに運んだ。

 アフリカ系アメリカ人の作者は自分のルーツを辿り、かつて奴隷狩りが行われていた、西アフリカのガーナに赴く。どのように人が狩られていたのか、どのような暮らしだったのかを取材する。アメリカでさえ、先祖が奴隷だったことを触れない人が多く、現地では尚更のこと、人々は話したがらない。

 

 北海学園大学在学中に、ハイチについて学んだことがある。大西洋に浮かぶ小さな島は奴隷貿易航路の基地になっていた。義務教育で学んだ数行の史実を、より詳しく学べると期待して履修したが、退職間際の教授はハイチを訪れたことがなかった。研究って、机上の推論?でいいわけ?なんでも確かめたい私は、ハイチやキューバへ行ってみたいと思った。

 

 未だに続く「奴隷制の余生」は、公民権運動のあとの「ブラックライフズマター」のように、奴隷制の解けないしこりと共に、人々の間に重く残る。

 

 

 

NEW class

 来週から、フランスからの料理人クラスを受け持つことになり、押し入れからタイで使っていた教材のコンテナを引っ張り出し、使えそうな参考書や絵カードをチエックする。

 タイの中高一貫校で3年間と、その後、私立大学の日本語専科で3年間教えていた。残ってるかな?とコンテナをひっくり返したら、当時の授業を製本し、保存していた。けっこう、真面目に取り組んでいたんだなぁ、と自画自賛。役に立ちそうなものをピックアップした。

 

 日本語を教えるって、準備に時間がかかり、割に合わない仕事なのだ。3時間の授業だと準備に3倍くらいかかる。学校だと、授業シラバスを作り、中間と期末テストも準備、そして評価をしなければならない。「もう、間尺に合いません…。」とつい本音が出ましたわ。

 

 しかしながら、学校が経営する「キッチンスタジオ」で2度も美味しいフランス料理のフルコースをご馳走になっているので、断るわけにもいかず、「また、美味しいフランス料理にありつけるかも?」と下心も見え隠れする。

 ま、6月まで12回の授業ということで、なんとか切り抜けようと思う。

 

 

 

 

香取正人 個展 ホテルニューオータニ

   街中に用事があり、ホテルニューオータニで開催中の「香取正人個展」に立ち寄る。

雪まつり雪像もすっかり解体されて、大通り公園はがらんどう。大型キャスターを引くアジア人観光客が目立つ。空が春めいて来て、心なしか嬉しい。

 

 香取氏は北海道の風景を描く画家である。荒いタッチの筆使いが残る描き方で、空の抜け感が素敵だと思う。瑞々しい色彩感覚もいい。小さな作品が多い。

 大きな絵と格闘している昨今、それはそれでいいけれど、小さな絵も描いてみようかと思った。