縄文

 このひと月余り縄文と睨めっこしてたら、草間彌生の水玉のように目の前が縄文になってしまった。

 器面に全体に施された縄文は右撚りと左撚りがあり、さらに撚りを重ね入れ子になったもの、数本の細い繊維を一緒に撚ったものなどがある。撚り糸を棒に巻きつけたもの、束ねたもの、紐と紐を結んだものなどを器面に回転させ多種多様な文様を生み出している。

 さらに、その上に文様を施す。ヘラのような工具で引いた沈線文様や粘土紐を貼り付けた文様、また口縁に突起を設け撚り糸で押圧などを施し、土器面を美しく飾る。それは物語性に溢れているといっていい。ーーー土器は国語的で石器は数学的だね!

 

 縄文を解明した偉い考古学の先生がいて、それを参考にして作図をしているが、なかにはどんな撚り紐を使ったのかわからないものがある。わからないと描きようがないので、紙の子包み紐を解いて撚紐を作っては粘土に回転させてみる。

 ああでもない、こうでもないと四苦八苦し、「ん、もう〜!縄文人に訊かないとわかんないね......」ってなことになることもしばしば。

 

 繊維を撚れば強くなるということを発見したのは縄文人だろうね。それを、紐を結ぶということに発展させたのではないのだろうか。それは網や敷物になり、獲物や道具を運ぶことを容易にしたと思う。

 

 考古学は興味深い学問だと思う。手ほどきをしてくれた職場の上司に感謝している。そして、この内職のお陰で世界の山に登ることが出来たのだ。ーーー感謝。

 

f:id:fuchan1839:20210310130937j:plain