水曜コラム「ganさんの地図なき人生に乾杯!」

 道新の夕刊、ガンさんコラムに開高健ノンフェクション賞を受賞した河野啓氏と共に登場した。

 1993年、その頃、私は2度目の成人式?のお祝いに買ったオフロードバイクで湯煙探検隊と称し、山奥の秘湯巡りをしていた。冬、札幌の仲間と上富良野吹上温泉に行きガンさん家族に出会った。

 「究極の温泉に連れてってやるよ!」と言って、その夏、職場にトムラウシ地獄谷遡行計画書が届いた。すっかり忘れていたし、「地下足袋持ってる?」と聞かれて、なんのこっちゃ?と思いながら、沢ぐつを買った。当然のことながら、地獄谷に着いた時はバテバテでご飯が喉を通らなかった。

 その次に誘ってくれたのが岳人憧れの七つ沼カールと日高幌尻岳である。その山行に一緒に行った若者が河野啓氏である。藻岩山も登ったことがないのに、いきなり日高に行くとは身の程知らずというもの。またしても稜線に出る胸突き八丁の急登で目眩がした。ガンさんは私のザックを降ろさせ若者に括り付けた。二人のお陰で無事に日高デビューを果たしたが、自宅に戻った翌日は脚が立たなかった。

 

 婦人科に問題があり貧血の治療中だったが、あまりの体力になさにトレーニングを始め、その後は山岳会に席を置いた。会に入り、岩、沢、アイスクライミングに冬期登攀とフルコースをこなした。知らない事ばかりで面白かったし、何よりも冬山の自然が素晴らしかった。

 

 次々と目の前が開けて行き、気がつけば世界の山に登っていた。あの時、ガンさんに出会わなかったら、トレーニングを始めることはなかったし、海外の山もなかったと思う。正に地図なき人生に乾杯!です。

 

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