日差しが明るくなって暖かい日が続いている。雪解けも進み、車道は乾いて車はスピードを上げ行き交う。
10年ほど前、春休みの2ヶ月間をカナダのビクトリアで過ごしたことがある。
比較的温暖な地域でスノードロップや水仙が咲き桜が満開になるまで滞在した。
ホストマザーのシリアは高校教師を退職した70代の女性で、病院で患者さんの話を聞いたり本を読むボランティアをしていた。絵を描いていたこともあり居間には50号の作品が掛けてあった。
わたしは語学学校に通っていて、毎日彼女に宿題をみてもらっていた。日曜日も勉強していると「Maki いい天気なのに部屋に居るなんて!」と散歩に誘われ、桜が満開になったといえば車で外に連れ出した。
好奇心旺盛で素敵なシリア。3年前にカナダ横断の旅をしたときシリアに電話したら、娘夫婦から独立して一人暮らしを始めたと言っていた。日本だと高齢になると家族と住みたがるのに独立するなんてすごいと思った。
あのとき、夕方になるとビールにトマトジュースを入れて飲むのが日課だった。それも緩い。夕食の準備に取り掛かるひとときに学校の出来事をシリアに報告していた。
ーーー今思えば、なんてすてきなひとときだったんだろう......。