旭岳 ▲2291m 山頂レストラン

 絵の友人の山岳会に旭岳に登っていないメンバーがいて「それは行かないと!北海道の最高峰だもの」と語気を強める。お天気も良さそうだしと出かけたが、なんだか雲行きが怪しい。

 ロープウェイ乗り場の辺りはガスが立ち込め何も見えない。ロープウェイを降りるとガスは霧状で視界は無く足元さえ怪しい。「まあ、風はそんなんでもないし…」と歩き出す。

 ところが、標高が上がるにつれて風が強くなり、ストックを持つ指先が冷たい。風の音で山ナビの、時間、高度も聞こえない。それでも2度の休憩を取り無事山頂へ到着した。時計を見ると、なんと2時間半のコースタイムを2時間で到着。「私たちも、やればできるじゃん!」と気をよくし、山頂を独り占め。

 

 風の中、岩陰にストーブを設置してお湯を沸かし、ポタージュとピザで登頂祝い。岩に身を寄せ合ってスープを飲み身体を温める。こんな天気に大雪に入るのは登山デビューの白雲岳以来だ。それでも、山にいるのは楽しい。

 

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 1時間も居たら身体が冷えてきて、「降りよう!」と急いでパッキングし、地図を確かめもせず登山道を下ったら、何かおかしい。向かい風の筈の風がない。「こんなロープなかったよね?」と先行する友人に声をかけた。その時、一瞬視界が開けて左側の山に雪渓が見えた。ーーーヤバイ、裏旭に下ってる!

 

 早く気がついて良かった。裏旭岳辺りに熊が出没し、冬に向け食いだめ中と聞いていたのだ。こんなにガスってたら熊と岩の区別も付かない。登り返して二度目の登頂!

 時間が経つごとに下界が現れるようになり、雄大な風景を楽しむことができた。石室でコーヒタイム。デザートはチョコレートケーキとパイナップル。辺りはすっかり晴れ上がり、散策の観光客も多くなる。

 

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 姿見の池の周りを散策しながら無事にロープウェイ乗り場に到着。秋に裏旭岳から中岳温泉経由でひと周りするコースもいいと思ったけれど、熊と相談しないと周れないね。

 帰路は富良野で温泉に入り、六花亭のギャラリーに立ち寄る。イサムノグチの写真展をしていた。富良野は快晴で、旭岳の寒さはなんだったの?って感じ。風は体温を奪い、あっというまに低体温症になる。北海道の夏山は侮れない。

 

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