アラスカ便り

 アラスカの友人からヘインズ便りが届く。

私が絵を描くきっかけとなった友人で、アラスカのヘインズで知り合った。夏の滞在中、友人のジョンが日本人がいると紹介してくれたのだ。

 友人はアートスクール卒業後、コロラドとヘインズの掛け持ち生活を送っている。夏はアラスカで冬はコロラドに住み、広いアメリカ大陸をキャンピングカーで旅したりと、なんとも羨ましく、理想的な暮らしだ。

 

 ひと昔前、星野道夫さんに出会ってから、アラスカの雄大な自然に憧れた。アーチストのジョン&シャーロンの暮らしにも惹かれ、マッキンリー(デナリ)登山も含め5回ほど訪れた。今考えると、星野道夫さんが自然だけではなく、世界の山に導いてくれたのかも?と思う。

 そして、もしも、頼もしい男と恋に落ちていたら、アラスカに住んでいたかも?と思う。アラスカの厳しい暮らしにはパートナーが必須なのだ。

 

 いま、札幌の街中に住んでいても、心のどこかにアラスカがある。星野道夫の「旅をする木」の一節のように、今進行している時間の他に、アラスカの自然に思いを馳せる、もうひとつの時間が存在する。そこには野生動物が悠々と生命を営んでいると思うだけで、すべてのものが愛おしくなる。