「ボナールとマティス手紙の二人」ジャンクレール/アントワール・テラス解説

 ボナールとマチス、二人の画家が第二次世界大戦中に交わした往復書簡。

書簡は相手があってのものだから、双方の書簡を読むとその空間が見え、魂が立ち昇る。相手への思いやりや絵に対する情熱が、行き来する書簡の時間を含んで心に届く。

 

 ボナールとマティスは好きな画家である。しかし、二人が2歳違いで友人同士であったとは知らなかった。戦時中は地方に疎開し絵を描いていた二人。お互いに健康上の問題を抱え、居間に相手の絵をかけて、存在を確かめ合っていたのだ。微笑ましく、素晴らしい友情と思う。マティスは「私の絵は肘掛け椅子のようでありたい」と言っている。問題を提起する絵が居間にあると疲れると、私も思う。

 

 明日は上京し、国立美術館マティスを見る予定。事前に本が届いて感謝。切り絵が楽しみである。