ギャラリー杣人 6人展 in 喜茂別町

 オープンしたばかりの「ギャラリー杣人」でグループ展が開かれている。

札幌から中山峠を超え、下り切ったところに小さな町、喜茂別町がある。役場の斜め向かいにある平屋の建物はエントランスの横に荒く砕いた石を敷き詰め、白い石が建物の黒とマッチしてモダンな雰囲気を醸し出している。

 ギャラリーのオーナー、白鳥信之氏は独学で油彩画の技法を習得した方で絵画への情熱が半端ない。今時の美大生なんぞ太刀打ちできない。年を経て絵を描き始めた私は驚くことばかりで、何事もこんなふうに情熱を持って始めた者は一廉の人物になるだろうと感心してしまった。

 こけら落しの作品展は北海道では名の知れたアーチストばかりなので、落ち着いた気分で鑑賞できる。日頃、お世話になっている絵の先生ご夫妻の案内でニセコ方面のギャラリー巡りを楽しんだ。

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林檎を買いに。

 タイがらみの友人ご夫婦から「余市に林檎買いに行くけど、暇?」とメールが入り、「超、暇だわ!」と即、誘いに乗った。

 

 週明けも晴天が続いていて家に篭って絵を描く気分じゃない。雪虫も飛んでもう直ぐ雪が降ると告げているし、冬眠前の熊じゃないけど、今のうちに色の付いた景色を見貯めして置かないと、あっと言う間にモノトーンの世界になってしまう。

 

 シニア遠足隊は紅葉ドライブがてら、磐渓経由で余市の高台にある果樹園に到着。

しかし、家も倉庫にも人影がない。倉庫の前には林檎のコンテナが山積みされ、果樹園の林檎がたわわに実をつけていて甘い香りを放っている。オーナーを探し回るが畑にもいない。

 

 果樹園に入ってみると落ち林檎が腐っている。「これ、拾っていいのかな?」と聞くと肥やしになるだけだからいいとのことで、ジャムになりそうなのを探していると、「栗が落ちてるわ!」というので、そっちに行く。靴で栗を割り「栗ご飯作ろう!」とイガと格闘しながら栗拾いに躍起になる。

 

 出直してこよう、ということになり、廃屋の方に行くと今度はクルミが落ちている。「えっ、クルミパンが焼けるよ!」とクルミを拾い出す。

 結局、林檎は買えなかったけど、ジャム用林檎を拾い、栗ご飯用の栗も拾った上にパン用クルミもゲットして大満足。越冬用の林檎はまた買いに来ることになった。

 

 

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樽前山、西山▲993m

 樽前山、再リベンジ登山は晴天の週末にメンバーの二人で決行。山の裏側から西山へ向かった。晴れ渡った空には飛行機雲、空の色を映した碧い湖面が眩しく、素晴らしい景色を堪能した。

 

 朝、6時に札幌を出発したのに、駐車場は既に満杯で5合目で1時間待ち。車を置いて7合目の登山口まで歩き出した。ヒッチハイクをしようと腕を伸ばしたら、2台目の車が止まってくれてラッキー!ーーー1時間歩かなくて済んだ。

 

 山頂で、お赤飯と豚汁でランチ。山では何でも美味しいけど、この広い風景の中でいただくのは格別で、感動的に美味しい!

樽前山の噴火口を眺めながらぐるりと回って下山し駐車場に着いた。すると、行きに車に乗せてくれたカップルが「乗ってく?」と手を振った。コースも違うのに、素晴らしい偶然に感謝して便乗させてもらう。ーーーダブルでラッキーなことに!天使がいたのかも?

 

 というわけで、予定があり来れなかった他のメンバーには申し訳ないんだけど、美しい秋の一日を満喫した。

 

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稀府岳 ▲702m

 北大山岳会の臨時山行、室蘭に位置する稀府岳に参加した。

標高が藻岩山よりちょっと高いくらいなので軽く考えていたら、けっこう斜面が急でしんどかった。

 やれやれ、着いたわ!と安堵したら、リーダーが「まだ途中です。奥稀府まで縦走です!」と後30分追加された。それがとんでもなく切り立った崖の狭い稜線で、八剣山をポコポコ連ねたようリッジなのだ。みんな足が早くて、あっという間に視界から消えてしまった。

 

「え、なにこれ、ヤバイわ!怖くない?」と後ろの若者にいうと「こわいです!」とビビっている。覗くと右下は崖で400mくらい垂直に切れ落ちている。もう、行くしかないわ、とモタモタしながらようやく奥稀府岳に到着し、「高所恐怖症なんだよね」とつぶやいたら「なに言ってるの、エベレスト登った人が」と一笑され、若者は「僕、胃が痛くなって、戻ろうと思いました!」と青い顔をしていた。

 来たからには戻らなければならず、またモタモタと引き返しながら、途中で出会った茸採りのおじさんがあの下の沢を目指して降りていったことに驚いた。まだ落葉していないうっそうとした森はクマに出会ってもわからないだろう。ーーーとんでもない人もいるもんだ。

 

 本峰にもどって噴火湾にかかる白鳥大橋を眺めながらランチタイム。

リーダーが中国人留学生から頂いたという豚茶をご馳走してくれた。豚のスープ茶なのかと思ったら、ウーロン茶を煮詰めたような香りがした。

 

 

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空を飛んだ日

 数年ぶりに大雪に足を運び、大雪山系の山並みを眺め、背中に羽が生えた気分。

ウラシマツツジや高根ナナカマドの紅葉、箒のようなチングルマの白い群落にハイマツの緑、銀色に光るスゲ類や地衣植物、山は錦絵のように華やいだ世界を繰り広げている。

 

 登山道には数日前の新雪が残り、羆や狐の糞の置き土産。彼らは冬に備えてお腹を満たすのに忙しそうだ。冬眠前の素晴らしいワンダー・ランドに感激し、友人との会話は「すごいね!すごくない?」のワン・ワードのみ。ーーーもう、家に帰りたくない!

 

 そういえば、大雪山系に登るたびに同じことを言ってた。「誰か食料を運んでくれないかなぁ、1週間くらい此処にいれたら幸せだろうな....」と。

 ま、そんなことは叶うわけもなくて、山岳会に在籍すると憧れは日高になった。ほぼ日高の稜線に足跡を残し、そして夢は世界の山や8000mの頂きへと移っていった。

 しかし、今、また大雪山系に足を踏み入れたことで、大雪連峰や十勝連峰を縦走した友人と共有した時間を思い出し、感無量だった。

 私の山人生は大雪連峰に始まり、大雪で終わろうとしている。広い大地と優しい稜線に癒され、今年最高の一日となった。

 

 下山後は市根井孝悦写真館へ。

10年ぶりくらいに市根井さんに再会し、山への変わらぬ情熱に驚いた。出逢いは30年以上前の秋の黒岳の石室で、彼は冬の撮影の荷揚げで、私は旭岳への縦走だった。

 日高の稜線や写真展で会うと「山ばかり登ってないで結婚しないと...」と見当違いのことを言われていた。旅友には「山と結婚したね!」と言われ憤慨していたが、山に取り憑かれていたことは確かだ。

 ひとつのことを成し遂げることへの半端ない情熱に「素晴らしい人生ですね!」とまた会えることを約束して別れた。

 

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バード・テーブル

 ナナカマドも色づいて、紅葉が街に降りてくるのも間近。ベランダで友人手作りの赤いバード・テーブルが小鳥を待っている。

 ちょうど、仕事机の目線上にあり、疲れた目を休めるのにいい。そういっても、またハトさん夫婦が来たら困る。雀でもいいから来て欲しいと楽しみにしているんだけど、どうなるやら.....。

 

  絵の友人に誘われて、久しぶりに大雪、黒岳に行くことになった。山の絵はどうしょうもないことになっているので、大雪の空気に触れたら糸口が見つかるかもしれない。

 さて、夜中に出発するので今のうちにおにぎりを結び、お茶も用意して仮眠の予定。週末は雨が多く、登山が中止になっていたのでわくわくする。

 

 

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芸術の秋

 早春に始まったコロナ感染は波のようにウェーヴを繰り返し、収束しないままに秋になってしまった。自粛生活で家に篭って絵を描く毎日だが、久々にギャラリーや美術館へ足を運んだ。

 

 ギャラリー門馬で高橋靖子さんのチクチクアートや會田千夏さんの透明感のある絵に感嘆し、近代美術館で開催されている神田日勝展で懐かしい風景と出会った。お気に入りの三岸好太郎美術館では三岸節子のエネルギーに敬服し、新しくできたコーナーで若いアーチストの斬新さに刺激を受けた。

 さらに、芸術の森美術館で始まったムーミン展にも足を伸ばして、トーベ・ヤンソンの原画をさらっと見て回り、郊外のひんやりした空気の中で秋を堪能した。

 

 あっというまに一年が過ぎようとしている。コロナに振り回されているこの期間は絵を描くのにはいいと思っていても、心まで引篭りになりそうで息苦しくなる。それに人と会わないと臆病にもなり、回りがぴりぴりしているから人嫌いになりそうだ。

 

 ここ30年くらいは、年に2、3度海外に出ていたので無償に飛行機に乗りたくなって空を飛ぶ鳥がうらめしい。絵も自分とにらめっこを繰り返しているようで進まず、絵の具を消費するだけ.....。

 キッチンの窓から、手稲山に沈む夕日を眺めながらワイングラスを傾け、ああ今日も日が暮れたと思う。

 

 高校生の時、山で友人を亡くした数学の教師が「明日、美味しいものを食べるため生きてる」と言った。黒板の数式と話しているような先生だったが、その言葉だけが心に残っている。最近、人生そんなもんでいいかもね、と思う。

 

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