友達文庫

「戦争は女の顔をしていない」スヴェトラーナ・アレクシシェーヴィッチ

 絵の友人が回してくた本の中に「戦争は女の顔をしていない」の文庫があり再読した。スヴェトラーナ・アレクシシェーヴィッチの作品は「ボタン穴から見た戦争」とともにブログに載せたことがあり、彼女はそれを思い出して買ったそう。

「戦争は女の顔をしていない」は内容がしんどい。こんな本を手にとってくれた友人を誇りに思う。私の子育て中はベトナム戦争だった。報道されるベトナムの悲惨な子供たちを目にしていた。日本は平和なのに青い空が怖かった。母が整列した軍隊の足音が怖かったのと同じに。

 第二次世界大戦時、ソ連ではドイツ軍と戦うために百万を超える女性が従軍、パルチザン部隊や非合法的な抵抗運動に参加した。医療担当や下働き、また兵士として武器を手に最前線で戦った。しかし戦後は白い目で見られ、病や偏見のため孤独に暮らす。スヴェトラーナ・アレクシシェーヴィッチは500人以上もの人を取材し、戦争とは、死とはどんなものなのか、血みどろの声を綴っている。語られた言葉は想像を絶する。

 スヴェトラーナ・アレクシシェーヴィッチは1948年バラルーシで生まれ、地元の大学を卒業した。この本は作家活動の出発点であり、2015年にノーベル文学賞を授与され、本人にとっても一番思い入れのある本だそう。一人でも多くの人に読んでもらいたいと思う。今も世界で同じ事が繰り返されている。嘘を鋭くかぎ分けることが大事だと思う。

 

深夜特急5」トルコ・ギリシャ・地中海 沢木耕太郎

 沢木耕太郎の3部作の最後の章、トルコ・ギリシャを経て地中海を渡りイタリアへ入るまでの旅。1、2部は読んでいるけど3部は未読なだったので面白かった。沢木耕太郎の旅哲学に魅了された。———ああ、何処へでもいい、旅に出たい!

  

「もてなしとごちそう」中村安希

 ローカル旅で出会った食事に関する物語。旅の楽しみはその国や地域の文化や人との出会い、そして最も体で感じることはその土地の食べ物だろう。その土地特有の臭いは一瞬で感覚の中に刷り込まれてしまう。

 あれ?と思ったのはアフリカ、ウガンダにあるルウェンゾリ峰(▲5108m)のガイド登山。ガイドに登山中の食事を聞かれ「なんでも食べられる」と答えたのに、パン、フライドポテト、スープ、ソーセージなどの欧米食に「ウガンダの食べ物が出ると思っていた」と文句をいう。海外登山はどこでも同じだろう、顧客にローカルフードは出さない。———なんか穿ってやしないか?

 最後のドイツ料理は作ってみたい。カッテージチーズに玉ねぎ、ドライトマトイタリアンパセリを入れて混ぜて、茹でたジャガイモに添えて食べるというもの。ただし、ジャガイモは嫌いだからパンに載せて食べよう!

 

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